男性更年期とは?夫に出るサインのセルフチェック10項目と夫婦でできること
理由もなく疲れが抜けない、妻のひと言にイライラする…。男性更年期とは、加齢に伴う男性ホルモンの低下で心身に不調が出る状態を指す言葉です。40〜50代の夫に起きるのは珍しくありません。定義・女性の更年期との違い・セルフチェック10項目・夫婦でできることを解説します。

理由もなく疲れが抜けない、妻のひと言にイライラする…。そんな変化に戸惑っていませんか。男性更年期とは、加齢に伴う男性ホルモンの低下で心身に不調が出る状態を指す言葉です。40〜50代の夫に起きるのは珍しくありません。この記事では、定義・女性の更年期との違い・セルフチェック10項目・夫婦でできることを解説します。
「更年期は女性のもの」と思っていた夫ほど、自分の不調を「気合いが足りない」「年のせい」で片づけてしまいがちです。けれど、40〜50代の男性に心と体の変化が出るのは、珍しいことでも、情けないことでもありません。
この記事は、36.5°編集部が公的統計と学会資料(2026年10月時点)をもとに作成したもので、医療的な診断を行うものではありません。気になる症状が続くときは、泌尿器科やメンズヘルス外来などの医療機関に相談してください。
目次
男性更年期とは|定義と医学的な呼び名
男性更年期とは、加齢に伴って男性ホルモン(テストステロン)が減ることで、体・心・性の面に不調が出る状態を指す言葉です。医学的には「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」と呼ばれます。
日本泌尿器科学会と日本Men's Health医学会は、この状態を診療するための「LOH症候群診療の手引き」をまとめており、症状の問診と血液検査でのホルモン値をあわせて判断するとされています【出典:日本泌尿器科学会・日本Men's Health医学会「LOH症候群診療の手引き」】。
ここで大切なのは、「男性更年期」は気のもちようや性格の問題ではなく、ホルモンの変化という体の仕組みが関わっている、ということです。「最近の自分は妻に優しくできない」「何もかも面倒に感じる」と悩んでいるなら、その背景に体の変化があるかもしれません。
男性更年期はどのくらいの人に起きるのか
厚生労働省が2022年に公表した「更年期症状・障害に関する意識調査」では、50代男性のうち「更年期障害の可能性があると考えている」と答えた人は14.3%でした【出典:厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」2022年】。
つまり、50代の男性のおよそ7人に1人が、自分の不調を更年期と結びつけて考えています。同じ調査では、医療機関で更年期障害と診断された、または可能性を指摘された男性はこれよりずっと少なく、「気づいていても相談しない」人が多いのが男性更年期の特徴です。
妻から見ると「性格が変わった」ように映る
男性更年期の変化は、本人より先に妻が気づくことも少なくありません。妻の側からは次のように見えています。
- 話しかけても生返事で、以前より口数が減った
- 些細なことで怒るようになった
- 休日は寝てばかりで、出かけたがらない
- 触れてこなくなった、寝室で背を向けるようになった
どれも「体の不調」ではなく「気持ちの変化」として受け取られやすいものです。妻が「嫌われたのかもしれない」と感じ始めると、すれ違いは加速します。だからこそ、本人が先に「体の変化かもしれない」と気づくことに意味があります。
男性更年期と女性の更年期・うつ病との違い
男性更年期は、女性の更年期ともうつ病とも重なる部分があります。違いを表で整理します。
| 比べる点 | 男性更年期(LOH症候群) | 女性の更年期 | うつ病 |
|---|---|---|---|
| 主な背景 | テストステロンのゆるやかな低下 | 閉経前後の女性ホルモンの急な変化 | 脳内の働きの変化・ストレスなど |
| 起きる時期 | 40代以降、人によって幅がある | 閉経をはさむ前後の数年間が中心 | 年代を問わない |
| 期間 | 明確な終わりがなく長引くことがある | 閉経後に落ち着くことが多い | 治療で回復が見込める |
| 特徴的な症状 | 意欲低下・性欲低下・筋力低下・ほてり | ほてり・のぼせ・発汗・動悸 | 気分の落ち込み・興味の喪失が2週間以上続く |
| 主な相談先 | 泌尿器科・メンズヘルス外来 | 婦人科 | 精神科・心療内科 |
女性の更年期は閉経前後の限られた期間に集中するのに対し、男性はホルモンが少しずつ減っていくため、「いつ始まったか分からない」「いつ終わるか分からない」と感じやすいのが特徴です。
また、意欲低下や落ち込みはうつ病の症状とも重なります。どちらなのかを自分で判断するのは難しいため、気分の落ち込みが2週間以上続くときは、精神科・心療内科への相談も選択肢に入れてください。
男性更年期に出やすいサイン|体・心・性の3つの面
男性更年期の症状は、大きく「体」「心」「性」の3つの面に分けて考えられています。
体に出るサイン
疲れやすい、朝起きるのがつらい、筋力が落ちた、汗をかきやすい・ほてる、眠りが浅い、関節や筋肉の痛み、頻尿といった症状です。健康診断では異常が見つからないのに不調が続く、というケースが少なくありません。
心に出るサイン
やる気が出ない、集中力が続かない、些細なことでイライラする、気分が落ち込む、不安になりやすい、といった変化です。「妻の何気ない一言にカッとなる」「休日に何もしたくない」といった形で、夫婦関係に表れることがあります。
性に出るサイン
性欲の低下、朝の勃起が減る、勃起しづらい(ED)などです。本人がいちばん言い出しにくい部分ですが、男性更年期の中心的なサインのひとつとされています。「妻に触れたい気持ちがわかなくなった」ことを、自分の愛情が冷めたせいだと思い込む必要はありません。
男性更年期のセルフチェック10項目

次の10項目のうち、ここ数か月で当てはまるものを数えてみてください。医療機関で使われる問診票(AMSスコア)を参考に、日常の言葉に置き換えたものです【出典:AMS(Aging Males' Symptoms)スコア】。
- 以前より疲れやすく、休んでも回復しない
- 朝起きるのがつらく、体が重い
- 些細なことでイライラし、あとで後悔する
- 仕事や趣味へのやる気が出ない
- 集中力や記憶力が落ちたと感じる
- 理由もなく気分が落ち込む、不安になる
- 寝つきが悪い、夜中に目が覚める
- 急に汗をかく、顔がほてる
- 筋力が落ちた、体型が変わった
- 性欲が減った、朝の勃起が減った
該当数の読み解き
- 0〜2個:年齢相応の変化の範囲と考えられます。生活リズムを整えるだけで楽になることが多いでしょう。
- 3〜5個:男性更年期の可能性があります。まずは睡眠・運動・食事を見直しつつ、不調が続くなら受診を考えてみてください。
- 6個以上:日常生活や夫婦関係に影響が出ている段階です。泌尿器科やメンズヘルス外来に相談することをおすすめします。
このチェックは医療的な診断ではありません。該当数が少なくても、つらさが強いときは医療機関に相談してください。
男性更年期を放っておくと夫婦関係に何が起きるか
男性更年期がやっかいなのは、不調が「性格の変化」として妻に伝わることです。
本人は体がつらくて黙っているだけなのに、妻からは「話しかけても生返事」「急に怒る」「私に興味がなくなった」と見えてしまいます。妻の側も40〜50代なら、自身の更年期と重なっていることもあり、お互いが余裕のない時期にぶつかります。
さらに、性欲の低下を言葉にできないまま寝室の時間が減ると、妻は「女性として見られていない」と感じ、夫は「拒まれる前に距離を置こう」と考える。こうして、どちらも悪くないのに、すれ違いだけが積み重なっていきます。
だからこそ、「体の変化かもしれない」と知ること自体が、夫婦関係を守る第一歩になります。
男性更年期かもと思ったら|夫婦でできる対処法5つ
対処法は、今日からできるものから順に並べています。
1. 「体の変化かもしれない」と自分に許可を出す
まず、不調を「怠け」や「老い」で片づけるのをやめてみてください。「ホルモンの変化が関わっているかもしれない」と考えるだけで、自分を責める時間が減ります。自分を責めている間は、妻に優しくする余裕も生まれません。
2. 睡眠・運動・食事を「まず1つ」整える
テストステロンは睡眠不足や運動不足、強いストレスの影響を受けるとされています。全部を変えようとせず、「寝る時間を30分早める」「週2回、20分歩く」のように、1つだけ決めて始めてみてください。小さな変化が続くと、体も気持ちも少しずつ軽くなります。
3. 妻に「今の自分の状態」を一言で伝える
夫婦関係でいちばん効くのは、不調を隠さないことです。詳しく説明する必要はありません。そのまま使える切り出しの言葉を挙げます。
「最近、理由もなく疲れやすくてイライラしてしまう。君のせいじゃなくて、たぶん体の変化だと思う。だから、きつい言い方をしたら教えてほしい」
「男性にも更年期があるらしくて、自分も当てはまる気がしている。一度、病院で診てもらおうと思う」
「君のせいじゃない」「教えてほしい」の2つが入っていると、妻は責められていないと分かり、協力しやすくなります。
4. 寝室の時間を「営み」から「触れ合い」に広げる
性欲の低下を感じているときに、無理に以前どおりを目指す必要はありません。手をつなぐ、肩に触れる、「おやすみ」を言ってから寝る、といった触れ合いを戻すことから始めてみてください。心と体のつながりは、営みの手前にあるスキンシップから回復していくことが多いものです。
5. 医療機関に相談する
不調が数か月続く、仕事や家庭に支障が出ている、気分の落ち込みが強い。そのどれかに当てはまるなら、泌尿器科やメンズヘルス外来に相談してみてください。
受診の流れは、おおむね次のとおりです。
- 問診票(AMSスコアなど)で症状の種類と強さを確かめる
- 血液検査でテストステロンの値を測る
- 症状と検査結果をあわせて、医師が状態を判断する
- 必要に応じて、生活指導や治療の選択肢を提案してもらう
治療の内容や適否は人によって異なるため、具体的な判断は医師に相談してください。血液検査は午前中に行うことが多いとされていますが、予約のときに医療機関に確認してみてください。
やってはいけないNG行動3つ

「気合いで乗り切る」と我慢を続ける
我慢は不調を長引かせ、イライラという形で妻に向かいやすくなります。自分でも説明がつかない怒りが増えているなら、それ自体がサインです。
不調を隠して妻と距離を置く
「迷惑をかけたくない」と黙って距離を取ると、妻には「冷めた」「嫌われた」としか伝わりません。理由が分からない距離は、理由が分かる不調より、ずっと夫婦を遠ざけます。
自己判断でサプリや薬に頼る
ホルモンに関わる薬やサプリは、体質や持病によっては合わないことがあります。試す前に医師に相談してください。
どうしてもつらいときの選択肢
夫婦でできる次の一歩は、「自分の状態を一言で伝え、受診を一緒に決める」ことです。妻に病院探しを手伝ってもらうだけでも、「ひとりで抱えている」感覚は軽くなります。
それでも、妻には言い出しにくい、話したところで分かってもらえる気がしない。そう感じるときは、まず自分の本音を自分で確かめるところから始めてみませんか。
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男性更年期に関するよくある質問
男性更年期は何歳から始まりますか?
一般に40代以降に症状が出やすいとされていますが、ホルモンの減り方には個人差が大きく、30代後半から変化を感じる人も、60代で初めて気づく人もいます。年齢だけで判断せず、症状の有無で考えてください。
男性更年期はいつ終わりますか?
女性の更年期と違い、男性はホルモンが少しずつ減っていくため、明確な終わりがないとされています。ただし、生活習慣の見直しや治療で症状が和らぐケースは多く、「ずっと続く」と決めつける必要はありません。
男性更年期は何科を受診すればいいですか?
泌尿器科、またはメンズヘルス外来・男性更年期外来が窓口になります。気分の落ち込みが中心なら、精神科・心療内科も選択肢です。迷うときは、かかりつけ医に相談して紹介してもらう方法もあります。
妻にどう伝えればいいですか?
「君のせいじゃない」「体の変化だと思う」「教えてほしい」の3つを入れて伝えてみてください。本記事の「切り出しの言葉」をそのまま使っても構いません。
妻が更年期の時期と重なったらどうすればいいですか?
40〜50代の夫婦では、お互いの不調が重なることは珍しくありません。「どちらがつらいか」を競わず、「今はお互いに余裕がない時期だ」と共有するだけで、衝突は減りやすくなります。家事や予定を一時的に減らすことも、立派な対処法です。
まとめ|男性更年期は夫婦で向き合える体の変化
男性更年期とは、加齢に伴うテストステロンの低下で、体・心・性の面に不調が出る状態です。40〜50代の男性に起きるのは珍しいことではなく、気合いや性格の問題でもありません。
不調を隠したまま妻と距離を置くと、「体の変化」が「心の変化」として伝わってしまいます。まずはセルフチェックで今の状態を確かめ、「君のせいじゃない」の一言から妻に伝えてみてください。症状が続くときは、泌尿器科やメンズヘルス外来への相談をためらわないでください。
ひとりで抱えなくていい変化です。言葉にするところから、夫婦で向き合っていきましょう。
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